第3回 チモイ窯の器の魅力 ー和どころ みやざわ様ー

2025.05.29

第3回 チモイ窯の器の魅力 ー和どころ みやざわ様ー

目次:チモイ窯の器の魅力

 

第1回 チモイ窯の器
第2回 チモイ窯を訪ねて
第3回 和どころ みやざわ様
第4回 LAMP様
第5回 和の食いがらし様

 

 

「和どころ みやざわ」宮澤さんが選んだチモイ窯


器は料理の引き立て役に過ぎない、と思う方もいるかもしれません。しかし、益子の窯元・チモイ窯の青木瑞晃さんが生み出す器は、それ自体が人と人、店とお客様を結ぶものです。今回は、そんな器が結んだ縁の一つである瑞江の和食店『和どころ みやざわ』様を訪ねました。


チモイ窯との出会いは5、6年前に遡る

チモイ窯の器との出会いは、瑞江のカレー店『LAMP』の藤森さんが、チモイ窯の青木由美さんを連れてきてくれたのがきっかけだったといいます。


宮澤

藤森さんが『LAMP』を出店する際にお店に来てくれたんです。そこから交流が始まって。私たちも藤森さんのお店に行くようになり、使われている器を目にしました。藤森さんはお若いのに器のことを本当によく知っていて、その知識はほんとにすごいんです。そんな中、藤森さんがチモイ窯の由美さんを連れてきてくれたんです。


すぐには購入できなかった

折峰

そこですぐに購入したんですか。


宮澤

すぐには購入できませんでした。迷ってたんです。新規で開店するならともかく、今ある器との入れ替えをしていかなければいけないじゃないですか。宴会などのことも考えると、もちろん一脚でなく何脚も購入することになるわけで…。


折峰

確かにそれはそうですよね


「和の食いがらし」さんで決意が固まる

宮澤

迷いながら、チモイさんの器を使っている料理屋さんを徹底的に自分で調べあげたんです。そうしたら恵比寿の「和の食いがらし」さんが使っていることがわかって、大将と二人で食べに行くことにしたんです。


折峰

使っている店を教えてもらったんじゃなくてご自分でですか


宮澤

そうです。ネットでたくさん調べて


折峰

それはすごいですね…。それで五十嵐さんのとこに行ったわけですね。


宮澤

そうです。五十嵐さんの料理は、それはもうほんとに美味しいし、盛り付けが素晴らしくて夢の国にいるようでした。大きなお皿の上にまたお皿を乗せたりしていて。いがらしさんでのチモイさんの器の使い方を見て『器でもっとお客様に喜んでもらうことができるかもしれない、ひとつの武器になるかもしれない』と思って。それで、チモイさんの器を選ぶ決意が固まったんです。


それからお二人は益子のチモイ窯に出向き、その場にあるものを買ったりその寸法違いを依頼し始めたそうです。


お客様に嬉しい反応があった

宮澤

そもそもうちの大将は料理に飾りをつけることを得意としません。だからこそ瑞晃さんの器に頼れると思ってます。瑞晃さんの器を使うようになって、こちらもより自信を持ってお客様のもとへご提供できるんです。


折峰

お客様の反応はどうでしたか。


宮澤

お客様の中には器に興味がある方も多くて、中にはまるでお茶席で器を見るかのようにチモイさんの器を手にとってまじまじと見たりする方もいれば、「この器すごく重いね」と反応があったり、そんな器のことがきっかけで話が弾んだりするんです。


コロナ禍を通じて店とお客様との在り方を見つめ直した。

折峰

お店のホームページを見ると予約が埋まっててすごいなあと思ってみてたんです。


宮澤

実は、私たち、コロナ禍を経験して反省したんです。夫婦二人でやっているのもあってコロナ前からお客様を待たせることも多かったんです。そこにコロナがきて、客数を絞らざるを得なくなったじゃないですか。こう言うと怒られてしまうかもしれませんが、逆に良かったんです。それまでできてなかったお客様とのコミュニケーションがたくさん取れて。それがあって今も少し人数を絞って営業しているんです。


チモイ窯の器はとにかく肉厚でオブジェにもなる

宮澤

わたしのチモイさんの器の印象はとにかく肉厚ってことです。持ち手がぼてっと大きかったり。器によっては置き場所に困ることもあるんですよね(笑)。でも、オブジェとしてもとても良いんですよ。カウンターに出しておいてもサマになるんです。


折峰

たしかにそうですね!これがあるのとないでは雰囲気が違ってきますね。


 

花器や行燈としても


花器。料理の器と同じく、とても有機的な存在感のあるものになっていました。



入り口には、蚊取り線香用の器がありました。


宮澤

こちらもご覧になってください。


お手洗いにも案内され飾ってある花器を見せていただいた。


宮澤

由美さんが『みやざわさんの店のお手洗いにはこれがぴったりだと思う』とおすすめしてくれたんです(笑)



お話を聞かせて頂き、お店を見せてもらう中、あちらこちらに見えるみやざわさんのセンス。



折峰

これはすごい迫力ですね。


宮澤

お客様で、谷町の方が近くにいらっしゃるんですが、いろんな方に見ていただきたいとの意向で飾らせていただいています。大きなものと聞いていたので、うちに入ればぜひ、ということになったんですが、持ってきていただいたら、なんとピッタリ収まったんです(笑)

歴代の横綱が一堂に介したまたとない場面での色紙ですね。もうほとんどの方が亡くなっていますからね…。


折峰

これはファンにはたまらないものですね。


宮澤

そういう方もいらっしゃいます。目の前のカウンターに座って涙しながらお酒を飲まれてたり…。


折峰

ああ、そんな話いいですねえ。宮澤さんの温かさがお店のあちらこちらに感じられて、本当に落ち着きます。きっと常連さんもこの感じを求めていらっしゃるんですね。

今日はお忙しい中お時間をいただきありがとうございました。


宮澤

こんなとりとめもない話になってしまいましたが…(笑)。


折峰

いえもう本当にいい話が聞けてあったかい気持ちになりました。ありがとうございました。


人柄、調度品、そして器が紡ぐ温もり

お二人のお話を伺いながら、その人柄からにじみ出る温かさを感じました。そして店内のあちらこちらに飾られた小物や調度品が醸し出す雰囲気は、心地よく、どこかほっとする温もりに満ちています。多くの常連さんに愛され、予約が取れない理由が自然と伝わってきました。店内にあるチモイ窯の器は、力強さと柔らかさが調和し、「和どころ みやざわ」の空間をつくる上で欠かせない存在であることを感じました。


今回お話を伺った宮澤さんのお店「和どころ みやざわ」様


和どころ みやざわ

HP:https://miyazawa.x0.com/




次回予告

第4回 LAMP様

「和どころ みやざわ」様とチモイ窯をつなぐ、もう一つの重要な縁。それは瑞江にあるカレー店『LUMP』の藤森さんでした。次回は、藤森さんがどのようにチモイ窯と出会い、その魅力を感じているのかをお届けします。

 

目次:チモイ窯の器の魅力

 

第1回 チモイ窯の器
第2回 チモイ窯を訪ねて
第3回 和どころ みやざわ様
第4回 LAMP様
第5回 和の食いがらし様

 

 

器についてのお問い合わせ

チモイ窯

〒321-4212

栃木県芳賀郡益子町上大羽2170

Tel:0285-72-8125

E-mail:chimoistore@gmail.com

Webサイトhttps://chimoi2000.wixsite.com/chimoi-gama/chimoi-gama

オンラインショップ:https://chimoi.stores.jp/

インスタグラム:https://www.instagram.com/chimoigama/


折峰本社で展示しています

「第1回 チモイ窯の器」の記事でご紹介した器は、5月19日(月)より折峰の本社にて展示しております。ぜひ実物をご覧ください。

※折峰では販売はしておりません。ご購入の際はチモイ窯から直接お買い求めください。

※お越しになる際は事前にお電話でご予約をお願いいたします。


折峰本社

〒135-0005

東京都江東区新大橋1-5-10

Tel:03-3633-1207

月~金:9:00-16:00 (祝日は休業)

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第4回 チモイ窯の器の魅力 ーLAMP様ー 目次:チモイ窯の器の魅力   第1回 チモイ窯の器 第2回 チモイ窯を訪ねて 第3回 和どころ みやざわ様 第4回 LAMP様 第5回 和の食いがらし様   チモイ窯と宮澤さんを繋いだLAMP藤森様 前回は、宮澤さんがチモイ窯の器に出会い、その魅力に迷いながらも、『器でもっとお客様に喜んでもらうことができるかもしれない』との想いでチモイ窯の器に決めたお話を伺いました。そして、その器を通じて、お客様と新たなご縁が広がっていくお話しも印象的でした。その背景には、瑞江のカレー店『LAMP』の店主、藤森さんの存在があります。今回は、藤森さんがどのようにチモイ窯と出会い、その器を自身の料理に取り入れながら、どのような想いでお店を、会社を経営されているかに迫ります。 まず店に入るとスタッフの方が声をかけてくれた。その感じがなんとも良く、瞬時に「あ、良い店だな」と感じた。その店員さんが店主の藤森さんでした。 チモイ窯のお話を聞くだけでなく、ランチもいただきに来ました。 折峰 今日はお時間いただきありがとうございます。 藤森 いえいえ。どうぞお座りいただいてお待ちください。 前菜のサーモンのマリネ。早速チモイ窯の器。この時点で料理としての強さや個性が引き立つ。もちろん味も絶品の美味しさです。 そしてメインのカレー なんとも言えないオリジナリティのある見栄え。 これは欧風カレーでもない。インドカレーと言っていいものなのかわからないが、食べたことのない美味しさ。 料理は、高校の時から自分の食べたいものを作り始めたことが始まり お茶をチモイ窯の器に入れていただく。 折峰 食べたことがない味でびっくりしました。これはインドカレーというジャンルになるんですか。 藤森 ありがとうございます。インドカレーでもなく、言ってみればスパイスカレーなんですかね。このジャンルって定義がないんです。なのでオリジナルのものではあると思います。 折峰 そしてまた、器がよく合っているというか、最初のサーモンのマリネも器の力がありますよね。もちろん味も美味しかったんですが、あの器に乗っているとさらに美味しく見えるというか。 藤森 そうですね。白い洋食器も好きだし、良さはあると思うんです。でもこのひとつひとつ形が違って、重ねにくい感じもまたいいんです。 折峰 カレーにもなんとも言えない相性というか、いい感じでした。このカレーには相当こだわりがあるのではないですか。 藤森 こだわりというより、趣味の延長で作り始めたんです。今でも自分のことは料理人とは思ってないんですよね。 折峰 そんなふうには全く見えません。お店の雰囲気もテーブルもとても雰囲気がよく、“らしさ”があるというか。 折峰 どこかでカレーの修行をされたんですか。 藤森 いえ全然自己流です(笑)。料理は好きで、高校生くらいの時から作ってたんです。いろんなものを作っていました。 折峰 高校生から!何か原体験的なものがあったんですか? 藤森 それが特にないんです。単純に料理を作ることに興味があったんですよね。強いて言えば、家のカレーをもっと美味しくしたいと思って作っていたとかですね。 水産高校卒業後、フィットネス業界に就職するも、経営の理不尽さに納得がいかず退職。 その後、兄のつてで園芸の会社でバイトをすることに。 料理の道へ ー 偶然が導いたホテル業界 藤森 園芸とかそういうの好きだったんですよね。それでそこでバイトすることになりました。 そうこうしてると、兄は中華の料理人だったんですが、その友人からホテルのサービスに向いているからやらないかって誘われたんです。 折峰 藤森さん当時から働きぶりがよかったんですね 藤森 そのホテルにバイトならいいかな、って面接に行ってみると、社員扱いになってて(笑)。だまされたんです。しかも後から勘付いたんですが、兄を引き抜くために僕をまず雇ったみたいです。 このホテルでサービスの基礎を学ぶ一方、趣味で料理を作り続ける藤森さん。 やがて、お酒への興味が高まり、バーテンダーとしての道を歩み始める。 その後、上場企業の福利厚生バーの立ち上げ、NY発の青山の寿司店の立ち上げなど、次々と経験を積んでいった。 藤森は自分らしさを貫いたらいい 藤森 寿司店ではそうそうたる芸能人が来るところで。それでも3年くらいで潰れちゃったんです。 結局そういう華やかな人たちだけでは飲食店としての経営は立ち行かないんですよね。経営者がやりたいことと飲食店として成り立つことに溝があるなあって思いました。 折峰 経営者の方は派手なことがしたかったんでしょうね…。藤森さんはそんな中でも、料理はやっぱり趣味で作ってたんですか。 藤森 作ってましたよ。その寿司店で、賄いも作っていましたし。そこのシェフに、「藤森の料理は独創的だよ。調理師の学校とか行く必要ないしそのまま藤森らしさを貫いたらいいよ」って言われたのは覚えてますね。 渋谷「ポツラポツラ」の再生と、チモイ窯との出会い 藤森 いろいろ経験したんですが、一度、カウンターの商売見ときたいなって思って、渋谷の「ポツラポツラ」にホールで入って。そのうちに、店の調子が悪いっていうんで、店主から相談を受けたんです。 店主が国産ワインを売り出して行きたいって相談で。僕は酒のことだいたい分かってるし、良い酒蔵も知ってたんで、良い日本酒を入れて。その店は神奈川の方から良い野菜も入ってきてたんです。店主のフレンチの経験を活かして野菜のテリーヌ、良い豚肉持ってるところと知り合いだったんでそれを入れたり。他の職人は和食上がりがいたからその人が刺身やったり魚をやったりで。当時「国産ワインなんて…」っていう状況だったんですけど、うまいものもあるし、その中でもヴィンテージの2002とか2003のものと2017とかとの飲み比べを丁寧にお客さんに説明したりと工夫したんです。 折峰 それはお客さん喜びますね!しかしタレントが揃ってたんですね。 藤森 そうなんですよね。揃ってました。日本酒もワイングラスで香りを楽しんでもらおうとか。1から組み立て直したんです。 藤森 そしたら、ビールはサッポロを使っていたんですが、サッポロさんから山手線の動画広告に出ないかっていう誘いが来て。立て直したメニューをそこに当てたんです。そしたら大ブレイクして。食べログで4点以上で100銘店に入るし。予約が取れない店になったんです。 藤森 そういうことがきっかけで雑誌にも載ったんです。それでおそらくそういう雑誌を見て、チモイの由美さんから電話が来たんです。 折峰 なるほど!その時期にチモイ窯と出会ったんですね 藤森 よく女性が運んでこれたなというくらい、スーツケースにパンパンに器を入れて運んできて、僕が対応したんです。元々器にも興味があったんで。 折峰 何でも興味があったんですね 藤森 ある程度勉強して、器の知識はあったんですよ。それで、出してきた器を見せられた時、すごくいいものだとすぐわかりました。だけどこれだけ釉薬を使ってたら、大体このくらいの値段するだろうなと予想はつきました。 折峰 そこまでの知識があったんですね。 藤森 そしたら思った以上に良い値だったんで、個人的に買わせていただいたんです。 折峰 そんなことあるんですね(笑)。個人的に買うなんて。 藤森 せっかく重い思いして来てくれてるのもあったし、いいものだったんで(笑) そこから由美さんに出口屋っていう酒屋を紹介したんです。出口屋はたくさん良い和食店を顧客に持っていたので。 折峰 そういうことだったんですね。繋がりました!和の食いがらしの五十嵐さんは由美さんを「出口屋」さんから紹介されたと話してたので。 藤森 由美さんからは窯出しにどうぞと誘われていたんですけど、忙しくてなかなか行けなくて、行けたのはそれから3年後くらいかなあ。それからは家族ぐるみで仲良くさせていただいています。 2013年代々木八幡で「SPICE POST」を開店することに 仕事に疲れ、飲食に疲れ、子供もいて。 でもカレーは作ってた。そして慕っていた兄が数年前に不慮の事故で障がいを持つことになった。親と喧嘩があったりで、藤森さんは兄を引き取り面倒を見ることにした。 藤森 当時兄の友人もよくうちに遊びに来ていて、カレーをふるまったりしてたんです。その人から「のぶちゃんのカレーにハマっちゃったんだよね」と言われて、あ、おれのカレーは「ハマるんだ」と思ったのを覚えています。それで「うまいから絶対お店出したほうがいいよ」とも言われていたんです。 その人が代々木八幡にあるバーを紹介してくれました。ランチがうまくいかないから昼は何もしてなかったみたいで、誰かランチやってくれる人を探していたみたいです。 「やってみたら」と軽めのノリで誘われて。 それで、その周辺を1週間くらい調査してみたんです。人の流れやどんな人がいるのか。 それでこれは勝算があるぞと思ってやることにしました。 折峰 さすが!そんなに調査してもわかる人はなかなかいないと思いますが… 藤森 店は狭くて6席しかないんです。ここでやるならカレーしかないなと思いました。 折峰 最初からカレーと思っていたわけではないんですね。 藤森 そうなんですよ。そのくらいの席ならひとりで回すにはカレーがちょうどいいなと思いました。 お兄さんと共にカレー店始めることになる 藤森 店ってひとり客が居れば入りやすいんです。だから兄を6席のうちの1席にいつも座らせておくんです。 折峰 そういうものなんですね。 藤森 そうなんです。兄にもそうやってやりがいというか、手伝ってもらいたくて。 折峰 ほんとお兄さん想いで泣けてきます… 藤森 5席なんで3人入ったら待っててもらう。そうすると外に待ちの列ができる。そんな作戦で、1ヶ月目から売り上げが立ったんです(笑)     自分の店は全部チモイ窯でと決めていた 藤森 そこで使う器はやはりチモイ窯と決めてたんですよ。その時すでに結構買ってたんですけどね(笑)店を出すことに決めてから『全部チモイ窯でいくから』と瑞晃さんと由美さんに伝えてカレーに合わせて作ってもらいました。 折峰 もう決めてたんですね 藤森 決めてましたね。それで、カレーなので、食べやすいよう返しをつけてもらったりしてます。 料理を120%にする器 藤森 僕、100円のコールスローを1万円のチモイの皿を使ったりするんです(笑) 折峰 ほんとですか!?それは何か意図があるんですか。 藤森 うまいものがあったとする。料理としてはそこが100%じゃないですか。でもチモイの器に入れるとそれが110%にも120%にもなるんですよ。 折峰 それはすごく分かります。料理は味だけじゃなく、器や見た目も含めた体験ですもんね。 藤森 そうなんです。 折峰 チモイ窯の器のどこが魅力だと感じますか。 藤森 触ったらわかりますよね。この重さと重厚感ですよ。あとは瑞晃さんと由美さんの人柄ですよね。 折峰 重いし個性的だし、そんなに器のことは分かりませんが、どこにもない雰囲気があると直感で思います。 藤森 そうですね。料理人を考えさせる器ですよ、チモイの器は。使う料理人によっては、ある意味使いにくいと感じることがあるかもしれないです。個性的ですから。瑞晃さんの中にもこういうものを作りたいというものがありますからね。 瑞江に姉妹店「LAMP」を出店、宮澤さんとの出会い 折峰 どうして瑞江に店を出すことになったんですか。 藤森 後輩が、ここで和食の店をやってたんですけど、やめることになって、店を引き継ぐことになったんです。瑞江で飲食店をするならここら辺のお金持ちが集まる店があるから、挨拶しといた方がいいって紹介するということで、『和どころ みやざわ』さんに連れて行ってくれたんです。 折峰 瑞江のドンみたいですね(笑) 藤森 そしたらもうオープンから少し経っていたんですが、宮澤さんがうちの店に開店祝いのお花を贈ってくださったんです。 折峰 あぁ、そういうのいいですねえ。 藤森 そんな感じでお互いお店を行き来するようになって。それで器の話になりチモイ窯を紹介したんですよ。 折峰 なるほど!そういう流れだったんですね。宮澤さんの話とも繋がってきました! 好きなもの×カレー 折峰 夜はやっていないんですね。 藤森 そうなんですよ。飲食に限らずどこも人材不足だし、夜の時間に入れる人を探して、ガツガツするのも違うなと思って。 うちはスパイスの卸とかコンサル的なこともやっているのもありますし。 折峰 そうなんですか。 この藤森さんのカレーを食べたらコンサル頼みたくなりますよ 藤森 コンサルもしますし、スパイスを卸してるので作り方教えるからそれで作ってもらえばできちゃうんですよね(笑) 折峰 え!作り方教えちゃうんですか。 藤森 全部教えちゃいます。スパイスの調合はかなり微妙で繊細なところなんでこっちで作っておくから、それを使ってもらえばっていうスタンスです(笑) 折峰 オープンなんですね。 藤森 自分たちだけ儲けようとか、そういうことでやりたくないんです。 折峰 どういうことですか? 藤森 いろんな店を見てきたんですが、ひとりだけ儲けようとしてもダメなんですよ。 結局僕の人生、いつも人に助けられているんです。ほんとにそれは縁ですね… だから小さくてもみんなが好きなことをしながら助け合って、良くなっていけばいいと思って会社を経営しています。 社員のみんなにも、今、趣味で好きなことがあれば、それとカレーを掛け合わせちゃって個人的にやってみなよって話してるんです。うちで覚えたカレーをツールにして、自由に好きに生きていければいいんじゃないかなって。 折峰 やっぱり最後は人ですもんね。 藤森 今この瑞江でもうちの店が、ということではなく、街全体として何か盛り上げたいという想いでそういう仲間と色々計画してるんです。 折峰 そんなこともされているんですね。とても楽しみにしています! お忙しい中、長い時間インタビューをさせていただきました。私たちもすっかり「LAMP」の藤森さんのファンになってしまいました。 料理のジャンルは違いますが、宮澤さん、藤森さんの店作りや心配りは相通じる温かさを感じました。こうやってチモイ窯が伝わっていった背景を聞き、この物語にどっぷりと浸かっていく感覚でした。 今回お話を伺った藤森さんのお店「LAMP」様 LAMP 〒133-0065 東京都江戸川区南篠崎町3丁目7−9 アルル・ミズエ Instagram:https://www.instagram.com/lamp_99_   次回予告 第5回和の食いがらし様 チモイ窯の器を使うか迷っていた宮澤さん。決断を後押ししたのは、五十嵐さんの店で目にした料理と器の見事な調和でした。その素晴らしい使い方に触れ、宮澤さんはチモイ窯の器を使う決意を固めたのです。次回は、五十嵐さんがどのように料理と器を融合させ、お客様に感動を届けているのかをお届けします。   目次:チモイ窯の器の魅力   第1回 チモイ窯の器 第2回 チモイ窯を訪ねて 第3回 和どころ みやざわ様 第4回 LAMP様 第5回 和の食いがらし様   器についてのお問い合わせ チモイ窯 〒321-4212 栃木県芳賀郡益子町上大羽2170 Tel:0285-72-8125 E-mail:chimoistore@gmail.com Webサイト:https://chimoi2000.wixsite.com/chimoi-gama/chimoi-gama オンラインショップ:https://chimoi.stores.jp/ インスタグラム:https://www.instagram.com/chimoigama/ 折峰本社で展示しています 「第1回 チモイ窯の器」の記事でご紹介した器は、5月19日(月)より折峰の本社にて展示しております。ぜひ実物をご覧ください。 ※折峰では販売はしておりません。ご購入の際はチモイ窯から直接お買い求めください。 ※お越しになる際は事前にお電話でご予約をお願いいたします。 折峰本社 〒135-0005 東京都江東区新大橋1-5-10 Tel:03-3633-1207 月~金:9:00-16:00 (祝日は休業)
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第2回 チモイ窯の器の魅力 ーチモイ窯を訪ねてー

2025.05.29
第2回 チモイ窯の器の魅力 ーチモイ窯を訪ねてー 5回の記事の目次:チモイ窯の器の魅力 第1回 チモイ窯の器 第2回 チモイ窯を訪ねて 第3回 和どころ みやざわ様 第4回 LAMP様 第5回 和の食いがらし様 栃木県・益子の地で営まれる「チモイ窯」は、青木瑞晃さんと由美さんご夫妻が手がける窯元です。瑞晃さんが器を作り、由美さんが営業を担当するという二人三脚のスタイルで、地方の旅館や都内の料理店に向けて、日々器を届けています。 器の背景にあるのは、瑞晃さんが経験してきた、陶芸とは異なるさまざまな仕事や出会いと、直感、そして濃密な師匠との時間。本記事では、瑞晃さんの語りをもとに、器づくりの背景やこれまでの歩みを紹介しています。 ※本記事は、青木瑞晃さんの語りと、現地での取材内容をもとに編集しています。 念願のチモイ窯、ようやく訪問できた 折峰 今日はどうぞよろしくお願いいたします。雰囲気が…いいですねえ。 瑞晃 よろしく。まあまあ座って。お茶淹れるから。   折峰 おすすめの蕎麦をご馳走になってきました。瑞晃さんも蕎麦が好きなんですってね。 (窯に向かう前、由美さんに瑞晃さんおすすめの蕎麦屋さんで蕎麦をご馳走になった) 瑞晃 高校の入学祝いの時、上野にある蕎麦屋に連れて行ってもらったんだよ。蕎麦なんてそんな好きじゃなかったんだけど、そこの蕎麦を食ったら美味くてびっくりしてさ。蕎麦ってこんな美味いもんなのかって思って。「たくさん食べていい」って言われたから何枚もおかわりしてたら「そろそろやめとけ」って言われて(笑)。そこから蕎麦が好きだね。 折峰 体も大きいしたくさん食べそうですもん(笑) 瑞晃 そこから大学に入ってからしらみつぶしに蕎麦屋に行ったんだよ。 あるときタウン誌の記者に「お前、蕎麦好きなのか、どこに行った?」って聞かれて答えてたら、あそこに行ってないのか、って、家の近くにある蕎麦屋の名前が出されて。おれはそこには行ってなかったんだよ。近いのに。それで行ってみたら美味くてさ。 由美 お昼に何食べる?って聞くと、「蕎麦」。次の日も「蕎麦」その次の日も「蕎麦」。だからもう聞くのやめました(笑) どんな仕事も舐めたらいけないすごい職人技術がある 瑞晃さんは元々、東京の中野出身。父親は東京藝大を出て、工業デザインをしていたそう。三兄弟の真ん中が瑞晃さん。長男さんはお父様と同じような仕事をされ、三男さんはイタリアンの料理人。瑞晃さんは高校を出た後、いろいろな仕事をしてきたという。 瑞晃 いろいろやったよ。あるときでっかいエンビ管を扱う工場で働いてたんだけど、物がでかいから、みんなフォークリフトで作業するんだよ。そこでのフォークリフトはさ、全部ドリフトなんだよ(笑)。ドリフトしながら、積む場所にフォークがピターっと止まって合わせるんだよ。それを見たとき、すげえな。どんな仕事も、ものすごい職人技ってあるんだな。舐められないなって思ったね。   由美さんとの縁 折峰 由美さんとはどちらで知り合ったんですか。 瑞晃 仕事場だよ。港の倉庫にエルメスとかそういうブランド物が全部集まる所があって、その倉庫の仕事をしてたんだよ。そこで知り合って。 折峰 由美さんもそこで働いていたんですか。 瑞晃 こちらはおれらを管理する人(笑)。 折峰 じゃあ瑞晃さんはバイトで由美さんは社員という? 由美 そうです。なんか変わってる人だなと思ったのが第一印象でした。 瑞晃 なんかいつも忙しくやってるんだよ。難しい顔してさ。それで「なんでそんな怖い顔してやってんのー」なんて半分からかうみたいに話しかけたりしてさ。「もっと気楽にやればいいのに」とか言っててさ(笑) 折峰 それでなんでまた? 由美 私は早くに親を亡くして、誰に何を言われなく気丈に生きてきたので、こんなふうに言ってくる人は初めてで、こういう人は私に必要なのではと思い始めたんです。 折峰 いい話ですね。 陶芸との出会い 折峰 そういうバイトの生活から陶芸家になるってどう繋がっていくんですか。元々陶芸に興味があったんですか。 瑞晃 全くなかったんだよ。陶芸のことなんて全く知らなかったからな。 折峰 何かあったんですか? 瑞晃 正月に当時住んでいた松戸の通称「あじさい寺」に初詣に行って、寺の外に「あじさい」という喫茶店があって。そこで食事をとることにした。寒かったのでおでんを注文してそのおでんについてきた小皿を見たときに、背中に電気が走って動けなくなった。 店主が「何か感じるのか」と聞くので、 「金縛りで動けない」と言ったら、「占ってやろうか」と聞いてきた。 カウンターの上を見ると“占い1万円”と書いてある。「金がないからいいです」と言うと「タダで占ってやる」と言う。 聞かれたことに答えると「お前、焼物に向いてるよ」と言われた。 折峰 それで始めたんですか? 瑞晃 いやそれで、なんかその言われたことが妙に引っかかって、頭の中に残ってたんだよな。その頃恵比寿で情報処理の仕事をしてたから、その会社の電話をこっそり使ってタウンページで陶芸関係の会社見つけて片っ端から電話して、休みの日に会いに行ったんだよ。その際、一軒に「そんなに陶芸がやりたきゃ産地にでも行ったらどうだ」って言われてさ。それで益子で仕事がありそうだってなって、行ったんだよ。 折峰 それがいつですか。 瑞晃 1993年頃だね。 陶芸教室での第一歩 益子に来て観光客相手の陶芸教室で働いていた瑞晃さん。教室に来るプロの技術を見よう見まねで盗んだりと徐々に陶芸の世界に入っていく。   瑞晃 産地だから陶芸家や職人も陶芸教室に遊びに来るんだよ。でも「技術を見せてくれ」と頼んでもやりたがらないんだよな。それでも教室にお姉ちゃんがいるじゃん。そのお姉ちゃんたちが、『見た〜い、ぜひやってみてください〜』なんて黄色い声を出すからさ、『じゃあ少し』みたいにやり出すわけ(笑)。そういうところを見たり、個展会場に行ったりして研究していたよな。 陶芸教室で3年ほど働いたとき、ある有名な窯元の先生の所に行くことになる。   師匠との出会い 別の仕事場で知り合った友人が、その先生に弟子入りすることになった。そこは誰が行ってもお茶が飲めると教えてくれたので、あるとき行ってみた。そこで細工場に通されて、囲炉裏のそばに座り、点ててもらった抹茶を飲んで、そこら中を見渡した。若い弟子がたくさん在籍していた。そこで、そろそろ独立を考えていた自分の耳に、青臭い芸術学生のような会話が入ってきた。見渡すと弟子たちの練習している作品が目に入ってきた。それは、職場の陶芸教室のお客さんの作品と比べてもさらに下手に見えた。すると先生はその作品を、「〇〇さんはまだ売り物を作っている」と評した。それが、おれの耳には何か茶化しているように聞こえた。 「先ほどから話している話がちんぷんかんぷんなので、何か仕事を見せてくれませんか?」と言った。すると先生は、「じゃあ、明日早い時間に来い」と言った。翌日、職場での朝のお茶の時間を抜け出し、先生の細工場へ向かった。前日とうって変わって、囲炉裏の周りには誰もおらず、みんな作業台の上で粘土揉みをしていた。先生の後ろに立って、その粘土揉みを見て驚かされた。当時自分では、20キロくらいの粘土を揉めるようになっていたが、先生が揉んでいる粘土は優にその倍を超えていた。しかも、大きいだけじゃなく、揉んでいる粘土が、手でちぎって、口に入れたくなるほどふわふわで美味しそうに見えた。自分も3年間毎日粘土を揉んできたが、粘土を美味しそうに思ったことは一度もなかった。これは相当いい粘土を使っているんだろうと思って、先生が手を休めたときに、どんな粘土を使っているか聞いてみた。すると、陶芸教室で使っているのと同じ、益子で一番安い粘土だった。    弟子入り 午後にもう一度行って今度は轆轤を引くところも見学した。益子は産地なので名人と呼ばれる人が何人かいる。その技術を見てきたので特に感動はなかった。ただ粘土揉みだけは習わなければいけないと感じた。その先生の所に弟子入りしようかと考え、周りに相談すると、「あの先生に習うと売れない」「下手になる」「弟子入りを待っている人が何人もいるので何年も待たされる」など、賛成してくれる人は誰もいなかった。初夏の頃、直接弟子入りを頼みに工場を訪ねた。 その日はちょうど窯焚きの次の日で、細工場には弟子が誰もいなかった。先生に「弟子入りさせてください」と頼んだら、あっさり「いいよ」と言われた。「いつからいいんですか」と聞き直すと、「いつからでもいいよ」と先生は言った。そこで、「何年も待たされている人がいると聞いたんですけど」と言うと、 「そういった人は何年でも待たせておくんだ」と先生は答えた。こちらがわからないという顔をしていたら、「ああいった人たちはここで習わなくても、 よそで役立つ人たちだから入れないんだ。でも青木さんはよそで役立ちそうにないから入れてやるんだ」と言った。  師匠はすべて見抜いていた 入門して最初は粘土揉みからだった。ただ、始まってすぐに、「青木さん今日は轆轤を挽いてみましょう」と師匠に言われた。普通は何か月も粘土揉みをしてから轆轤に移るのだが、なぜかおれはすぐに轆轤を挽かせてもらえた。「何を挽きますか」と聞くと、「筒花瓶を挽いてみろ」と言われた。蹴轆轤(けろくろ)を使うのは初めてだったので、轆轤が止まることに衝撃を受けながらも、必死に一つ挽き上げた。すると、「さすが3年やっただけのことはある」と褒められた。 「もう一つ挽いてみましょう。次は薄くしないで」そう言われて頭の中がパニックになった。それまで自分が習ってきた轆轤の技術は、なるべく少ない手数で、薄く、軽く、均等に挽き上げるものだった。薄くしないで轆轤を挽くということは、足を動かさないで歩くに等しいことだった。しかし、言われたからには、やらざるを得ないので、轆轤を挽くんだが、挽こうと思って力を入れると薄くなる。 薄くしちゃいけないと思って力を抜くと土が逃げる。散々悪戦苦闘して「できません」と降参すると、「なんだ3年やっても大したことないな」と師匠は言った。新参者にいきなり「轆轤を回せ」という師匠の言葉でピリついていた細工場の中に、兄弟子たちの爆笑が響いた。 すでに結婚をして子どももいたおれは、誰にも言わずに粘土揉みをマスターしたら辞めるつもりだった。師匠はなぜかそれを見抜いていたようだった。ここには自分の知らない技術体系があることに気づいたおれは、腹を据えて最後まで習う決心をした。師匠は、「青木さん、また粘土揉みから始めましょうか」と言い、おれは「はい」と答えた。 教えない 基本、師匠は自分の仕事をするだけで、弟子には教えない。兄弟子に手順だけ示してもらって、あとは自習するという形だった。師匠がOKを出すと、次の課題を兄弟子たちに手順を示してもらって、また自習をしていく。手順の意味を自分で考えて工夫していると、「ああ、こういう感じかな?」とひらめくときがある。そういうときに前を向いているはずの師匠が、「青木さん、いいのできたかい?」と、まるで背中に目があるかのように声をかけてくることがあった。「どうだ、青木さん、面白いかい?」と聞かれて、おれが「面白いです」と答えると、師匠は上機嫌でおれが作ったものを見ずに「それでいいんだ」と言ったものだった。 身につけていたものを、惜しげもなくすべて捨てられた それとは対照的に、兄弟子が図録に載っているような壺を真似て作っていると、「お前の手から李朝が生まれるとでも思っているのか」と、こっぴどく叱っていたものだった。師匠は口癖のようにこう話していた。 「轆轤をゆっくり回せ」 「土を伸ばすんじゃなく動かすんだ」 「うまく作ろうとするな」 「できたなりでいいんだ」 そのどれもがおれにはしっくりときた。 おれの轆轤は囲炉裏の側で、訪れるお客さんから一番近い所にあった。9月に弟子入りし冬になった頃、あるお客さんが訪ねてきた。おれが轆轤に悪戦苦闘している姿を見て、 「この人は長くかかりそうだね」 と師匠に言った。師匠は、 「青木さんけ、青木さんは春風の吹く頃だ」と答えた。 お客さんは、こんなに下手くそなのに、という顔で納得していないようだったが、結果的におれは5月に卒業した。普通でも2、3年、長い人では5年くらいいる人もいたから、おれは9か月でだいぶ早い方だった。 思うに、おれは自分が身につけていたものを、惜しげもなくすべて捨ててしまったから、順調に新しいことを身につけることができたんだと思う。それができなかった人は、時間がかかったようだ。 チモイ窯が始まる 晴れて師匠の所を卒業して独り立ちとなった瑞晃さんは、今の場所でチモイ窯を始めることになる。 折峰 「チモイ」というのは何か意味があるんですか? 瑞晃 おれも由美も犬を飼っていたわけ。その時飼ってた犬の名前が、「チー」と「モイ」っていう名前で、それで繋げて「チモイ」 折峰 そう言うことだったんですね。 「練」「挽」「焼」「快」のマークはどんな意味があるのですか。 瑞晃 仕事を始めたばっかりの時に、自分の仕事を表すマークを作ろうと思ったんだよ。朱色で書いてあるのが「器」の字で、粘土を練る、轆轤を挽く、窯を焼く、そのどの仕事の中にも、心地いい部分があるわけ。 粘土も最初固かったり柔らかかったりするものが混ざってきていい感じになってくると心地がいいし、轆轤もそうで、土がよく揉めて轆轤がよく動いて最後形になっていくと心地がいい。窯焚きもそう。窯焚きの日は疲れの絶頂なんだけど、十分準備して、順序をちゃんと立てて、窯の温度を上げていったときに窯の熱が溜まりに溜まって、力がこもってきて吹き出すような感じになってくる。その時は見てて気分がいいんだよ。 登り窯 細工場を建てて窯を作る時に、いろいろな業者で見積もりを出してもらったら、自分にとって大変な金額が出てきた。師匠が将来を見越して窯づくりを教えた兄弟子に相談したところ、業者の見積もり額の数分の一で、登り窯を造れると言われた。 自分では登り窯を持つつもりは全くなかったが、条件が整い登り窯を作ることになった。いろいろな情報を仕入れる中で、昔は手作りのレンガを使ったと聞いて、自分の登り窯もアーチの部分にはレンガを手作りして使った。 2004年に初窯を焼き、窯を焼くたびに手を加えていったが、この窯の性能を完全に引き出せたのは、東日本大震災で窯が崩壊し、それを直した後だった。 東日本大震災で壊れた窯を見た時は、どこから手を付ければいいのか皆目わからなかった。 しかし師匠のところに相談しに行ったとき、かつて一緒に窯を作ってくれた兄弟子が師匠の窯を修理する姿を目にし、「これならおれにも出来そうだ」と思い再建に取り掛かった。崩壊した際、この窯の欠点だと思っていた部分が剥き出しになっていたので、自分なりにそこにしっかり手を加えた。結果、窯のポテンシャルを十分に引き出せることになった。 追いつけない師匠   おれもひと窯、ひと窯、成長していくわけで、よくなってきてるっていう実感もあるし。 それで師匠に追いついたかなと思って細工場に行くと師匠はもっと先に行って離されてる。 作品が老けないわけ。師匠はおれたちがやんちゃしたなあ、なんていうことの、遥かに通り越えるやんちゃをするわけ。仕事はどんどん暴れん坊になっていくわけ。 おれがいない時に師匠が細工場に来たことがあったんだよね。おれが後日、師匠の所にお茶を飲みに行ったら、 「この間、青木さんとこ行ったんだよ。青木さんが作ってんの勝手に見させてもらったんだけど、あの花瓶のあれいいな」 とか言ってね。 「ああ、青木さんはもう新しい技術の開発をしているね」 っていうのがあったよ。 弟子の中には習った通りのままやってます、という人もいるわけよ。でも師匠からすればね、師匠自体がどんどん変わっていってるのに、あの当時のままやるってことはありえないわけで。 だからおれみたいに、新しいものを作るために一つ技術を開発して、どんどん離れていく。そういうのを見てる方が、(師匠は)多分楽しいんだよね。 「あの花瓶は青木さんうまくやったな。おれもやってみるわ」って言って、おれよりも遥かにすごいの作るわけ(笑) おれたちの時代ってもうみんなが競うようにさ、「おれはこれを作った」「おれはこういうのを作った」っていう時代だから。師匠はあの時すごい楽しかったと思うね。 喧嘩しても手を出さなきゃ、いくら喧嘩してもいいって。手を出したら破門だけど。 「お前の土は揉めてない!」 とか言って(弟子たちが)喧嘩を始めるわけよ。 「何が揉めてないだ!揉んでるよ!」 「お前の土は固いんだ!」 「固くても揉めてるんだ!」 そしたら師匠が、 「素晴らしい。今のは素晴らしいぞ。柔らかくても揉めてない土もあるけど、固くても揉めてる土がある。これは素晴らしい」 とか言ってね(笑) ほんとに面白かったんだよ。 開けられなかった師匠の引き出し 師匠は教育者になったらどんだけ素晴らしいかと思って。人に染み込むようなことを言うんだよね。 何回もあったな、そういうことが。 昔胃がんやってたから60まで生きると思わなかったって言って、72まで生きたね。震災の次の年(2012年)に亡くなって。 師匠は新しい技術を発見すると研究会みたいなものをやるの。古い人たちを集めてみんなで同じ課題をやって。そういうのを何回かやったんだよね。茶碗をやったり、皿をやったり。 それで師匠はさ、ものすごい引き出しがあるわけよ。だからその習ってるおれたちのレベルに応じて出してくるわけ。 あの時はね、おれたちがね、下手すぎたわけだから。師匠がもっと見せられたものを全然見せられずに、今はこれを見せても無駄だからって。そういうのがあったはずだよ。 だから今、師匠が生きてたらね、どういったものを見せてくれるだろうって。そういう引き出しをね、開けられなかったなっていう、そういう思いがある。 茶碗一つとっても、多分すげえ面白かっただろうなって。 空間に作用する不完全な器 師匠が技術のことを話してるときに「技術は窒息する」という表現をしたことがあった。 1つの仕事を長いことやっていると、同じところをぐるぐる回るようなことが起こる。 その時に重箱の隅をつつくように技術を完成させてしまうと、その後は同じことの繰り返しになってしまう。 それが「技術は窒息する」ということだと思う。 重箱の隅に何か残っていれば、一周してきても、また新しい何かを付け加えることができる。そうしていれば、何周も同じようなところを回ったとしても、常に新しい仕事ができる。 器も同様で、大手の陶器店を見れば非常に完成度の高い、寸分の隙もないような器がいっぱい並んでいる。 それを飾りに使うのであればいいが、器として使ったり、花器として使おうとすると、完璧な器にとって料理や花は邪魔になる。だから器も花器もどこか物足りない、まだ何か不完全な部分がなくてはいけない。 つまり、器にそういう余白があって初めて、器に料理を盛ったり、花器に花を生けたときに、それが力を持ち、空間や目の前の人に何かを与え得る可能性が生まれる。     次回予告 第3回 和どころ みやざわ様 第3回は実際にチモイ窯の器を使っている東京、瑞江にある料理店「和どころ みやざわ」様を訪ねお話を聞きました。縁がつながっていき、チモイ窯を使うに至った経緯がとても魅力的です。ぜひ読んでみてください。   目次:チモイ窯の器の魅力   第1回 チモイ窯の器 第2回 チモイ窯を訪ねて 第3回 和どころ みやざわ様 第4回 LAMP様 第5回 和の食いがらし様 器についてのお問い合わせ チモイ窯 〒321-4212 栃木県芳賀郡益子町上大羽2170 Tel:0285-72-8125 E-mail:chimoistore@gmail.com Webサイト:https://chimoi2000.wixsite.com/chimoi-gama/chimoi-gama オンラインショップ:https://chimoi.stores.jp/ インスタグラム:https://www.instagram.com/chimoigama/ 折峰本社で展示しています 「第1回 チモイ窯の器」の記事でご紹介した器は、5月19日(月)より折峰の本社にて展示しております。ぜひ実物をご覧ください。 ※折峰では販売はしておりません。ご購入の際はチモイ窯から直接お買い求めください。 ※お越しになる際は事前にお電話でご予約をお願いいたします。 折峰本社 〒135-0005 東京都江東区新大橋1-5-10 Tel:03-3633-1207 月~金:9:00-16:00 (祝日は休業)
第1回 チモイ窯の器の魅力

第1回 チモイ窯の器の魅力

2025.05.26
目次:チモイ窯の器の魅力   第1回 チモイ窯の器 第2回 チモイ窯を訪ねて 第3回 和どころ みやざわ様 第4回 LAMP様 第5回 和の食いがらし様   今回のよもやま話は、栃木県の益子にある窯元、チモイ窯の器をご紹介します。チモイ窯は主人の青木瑞晃さんが作り、奥様の由美さんが全国各地に営業し販売をしています。 私たち折峰がこの記事を書く最大の理由は、青木瑞晃さんが生み出すチモイ窯の器と、その器を活かす料理人の方々とのご縁を結びたいという想いにあります。 そもそものきっかけは、恵比寿の日本料理店『和の食いがらし』の五十嵐さんからチモイ窯をご紹介いただいたことでした。 器が料理に与える力に強いこだわりを持つ五十嵐さんの姿勢と、実際に使われているチモイ窯の器に触れるうちに、私たちもチモイ窯の器が持つ魅力をより多くの方へ届けたいと考えるようになりました。 本記事を通じて、チモイ窯の器そのものの魅力はもちろん、器がもたらす人と人との縁の広がりまでお伝えできれば幸いです。   チモイ窯の器をご紹介します 器の詳細 1.花器大 幅44cm-高さ48cm 2.サーバー 幅20cm-高さ33cm 3.香取入れ 幅21cm-高さ25cm 4.輪花鉢 幅21cm-高さ21cm 5.すり鉢 幅32cm-高さ12.5cm 6.花器 taro okamoto 幅29cm-高さ22cm 7.焼締たたき 花器 幅12.5cm-高さ20cm 8.手付き片口 幅21cm-高さ16cm 9.黒片口浅鉢 幅24cm-高さ8.5cm 10.飴三つ足皿 幅23cm-高さ6.5cm 11.フォー皿 幅21cm-高さ8.5cm 12.並白皿 幅22.5cm-高さ5cm 13.荅台(こけだい) 幅16cm-高さ8.5cm 14.鉄絵丼ぶり 幅15.5cm-高さ9.8cm 15.輪花鉢 幅13.5cm-高さ9.5cm 16.並白片口 幅14.5cm-高さ7.5cm 17.たけとんぼ 幅16cm-高さ8cm 18.緑釉皿 幅17.5cm-高さ4cm 19.片口酒器 幅14.5cm-高さ8.5cm 20.四方皿 幅16.5cm-高さ7cm 21.アロマポット 幅11cm-高さ11cm 22.アロマポット 幅10.5cm-高さ12cm 23.緑釉デザート皿 幅10.5cm-高さ8.5cm 24.面取りロックグラス 幅11.5cm-高さ9.8cm 25.割山椒 幅13.5cm-高さ6.5cm 26.龍皿 幅20cm-14.5cm 27.スープカップ 幅15cm-高さ7.2cm 28.ぐい呑み 幅7.5cm-高さ7.5cm 29.ぐい呑み 幅7.5cm-高さ7cm 30.ぐい呑み 幅7.5cm-高さ6.5cm 31.ぐい呑み 幅7.5cm-高さ5.5cm 32.ぐい呑み 幅6.5cm-高さ6.7cm 33.ぐい呑み 幅6.8cm-高さ6.9cm 34.ぐい呑み 幅6.5cm-高さ6.5cm 35.ぐい呑み 幅6cm-高さ6.7cm 以上商品の一部をご紹介しました。 次回予告 第2回 チモイ窯を訪ねて 第2回の記事では、栃木県益子の窯元を訪ね、作り手である青木瑞晃さんと由美さんにじっくりお話を伺いました。器の魅力はもちろん、お二人の温かな人柄が伝わってくるインタビューです。 どうぞその空気感ごと、味わっていただけたら幸いです。 目次:チモイ窯の器の魅力   第1回 チモイ窯の器 第2回 チモイ窯を訪ねて 第3回 和どころ みやざわ様 第4回 LAMP様 第5回 和の食いがらし様   器についてのお問い合わせ チモイ窯 〒321-4212 栃木県芳賀郡益子町上大羽2170 Tel:0285-72-8125 E-mail:chimoistore@gmail.com Webサイト:https://chimoi2000.wixsite.com/chimoi-gama/chimoi-gama オンラインショップ:https://chimoi.stores.jp/ インスタグラム:https://www.instagram.com/chimoigama/ 折峰本社で展示しています 「第1回 チモイ窯の器」の記事でご紹介した器は、5月19日(月)より折峰の本社にて展示しております。ぜひ実物をご覧ください。 ※折峰では販売はしておりません。ご購入の際はチモイ窯から直接お買い求めください。 ※お越しになる際は事前にお電話でご予約をお願いいたします。 折峰本社 〒135-0005 東京都江東区新大橋1-5-10 Tel:03-3633-1207 月~金:9:00-16:00 (祝日は休業)