「Chirashi」から「Rectangle」へ。Yama様のお土産箱
2025.07.30
白金にあるアシェット・デセールのレストラン「Yama」様。
このたび、お土産として提供されているフルーツボックスの新しい箱づくりを、折峰がお手伝いさせていただきました。
取材当日は、青森の農家を訪れた翌日。
ご多忙な日々の合間を縫って、オーナーの勝俣様にお話を伺うことができました。
お土産ができた背景


そもそもお土産箱はどのようなことがきっかけで始められたんですか
元々ピクニックボックスを作っていたんです。全ての始まりはこれです。
Picnic set

出典:Yama様Instagram
とても可愛いですね!
コロナ禍にお客様が来店できない状況の中、フルコースをバスケットに入れて売っていたんです。サラダと、お菓子のセットと、飲み物とお花。あとメニューも添えて。
コロナ禍で寿司屋さんがこぞってちらし寿司を作っているのを見たんです。
みなさん、テイクアウトとして販売していらっしゃいましたね。
お寿司屋さんたちは定番のものがあるから売れるけれど、僕らは定番のものはないし、お菓子屋さんの派生なので、同じようなことをしても、お菓子屋さんにはかなわないんですよね。
だったら今、自分が出来る最大限のことは何かと考えました。
よお、考えてみよ

『よお、考えてみよ。よお考えてみよ。売れるものはこれ(ハイクオリティのフルーツ)がある、これをどうしたらいいか…』
デザイン性、手間のこと、贅沢なフルーツを使って...と考えました。
うちに来るお客様はフルーツ好きなのだから、フルーツをたくさん乗せたら順当に評価されるだろう。
それで、寿司屋さんと同じイメージで「Chirashi(ちらし)」という名前にして。そこから始まったんです。
Chirashi

出典:Yama様Instagram
お客様とお土産が繋ぐ同業者とのご縁

うちは営業時間が12時と15時なんですが、グルメに食べ歩く方は、毎日、昼、夜食べ歩くんですよね。
12時にうちに来て、お土産に「Chirashi」を持って、夜はお寿司屋さんへ行っていらっしゃるようです。
ある日、僕がお寿司屋さんに行って『初めまして』とご挨拶すると、
『いや、勝俣さん何回もお会いしてますよ』
『え?どこかでお会いしましたっけ』
『お土産が先に来てます』
なんていうこともよくあって。
お客様がお寿司屋さんの大将に
『ちらし持ってきたよ』
『なんで寿司屋にちらしなんて持ってくるんだよ』
って開けてみたらフルーツで、というありがたいやりとりも楽しんでいただいているようなんです。
お土産が先回りして「ご挨拶」していたんですね
そういう流れで和食のお店やお寿司屋さんがうちの存在知ってくれることもあるんですよね。
デザートに込めた「贅沢」のかたち

こちらのお土産は、どのくらい作られていますか?
以前は1日に5〜6台ほどのご注文でしたが、今では15台前後です。
他のレストランでは、ワインなどのドリンクで売上を立てているところも多いと思いますが、うちではあまりドリンクを前面に出していません。ワインもメインではなく、お客様の多くもお酒をそれほど召し上がらない方が中心です。
ワインも置いているのでしょうか?
シャンパンを最初の一杯としてグラスでお出しすることもあります。ただし、クオリティの高いものを求められるお客様には、ご希望の方にはボトルでのご用意も可能です。
料理の場合はお腹いっぱいの向こう側まで食べても大丈夫なのですが、デザートをお腹いっぱい楽しんでいただき、さらにそこにお酒が入りすぎると、血中糖度が急激に上がってしまい、気分が悪くなることがあるんです。
そういった理由からも、私たちとしてはあまりお酒を積極的におすすめしていないんです。
最後まで心地よく楽しんでいただくことを大切に考えられているんですね
「Chirashi」から「Rectangle」へ

コロナ禍から始まった「Chirashi」が2025年、箱の刷新と共に「Rectangle」にかわります。
なぜ今回箱を変えようと思われたんですか
元々変えたかったんです。
そうだったんですね
包材関係のお店をいろいろと回ったんですが、なかなか良いものが見つからずにいました。
どこに頼んだらいいかわからない、ロットもわからない。他の業者の方にも来てもらったんですが、僕のニュアンスがなかなか伝わりませんでした。
サンプルを10個持って来られても、クオリティの高い2個を持ってきてくれたらな、と思っていました。
結局、良いものを見つけてもらえなかったことと、担当者のものづくりに対する心得がピンとこなかったんです。
(折峰が)すごいなと思ったのは、サンプル一発目でこれだったんですよね。
一緒に仕事できる人ってこういう感覚。雰囲気や伝える会話の中でのキャッチボールができて伝わる人と一緒に仕事していますよね。最初にこれがきてすごいなと思いました。
お店の世界観に沿うパッケージ


壁の色などと店全体が一致していて、デザインの仕事をしているお客様がこの箱を見てよく言うんです。
『誰がデザインしたの?』
『Yamaに入り浸っている人なの?』
『ニュアンスが伝わるの?』
お客様は芸術関係の方が多いので、店全体としての統一美を見ているんですよね。
『前の箱は正直、統一美がないなと思っていた』とも言われて。
そんなお話を聞くと、私たちも気が引き締まります。細部まで見ていただいているんですね
うちのお客さんはすごいよく見ていただいていますね。
料理だけではなく、トータルで見ていて気が抜けないと思いました。
顧客への責任感と生産者との繋がり

ご予約は、2ヶ月先までしかお受けしていないんです。
それ以上先になると、万が一のことがあったときに責任が持てないので……自分に何があるか分からないですからね。
ご予約をして来てくださるお客様には、当然「来てよかった」と思っていただかないといけない。
中には飛行機でいらっしゃる方もいて、航空券を含めると10万円を超えることもあります。
そういう方たちは、その金額以上の期待を持って来てくださるわけですから、単に「3万円台のコースの仕事」ではなくて、「10万円をかけてでもまた行きたい」と思っていただけるような体験をお届けしなければならない。それが自分の仕事に対する責任だと感じています。
農家さんはファミリー
そのために、2ヶ月間ずっと高いクオリティのものを安定してご提供できるような仕組みをつくる必要があるんです。
実際に現地に足を運んで、農家さんと直接お話しして、一緒にご飯を食べたり、お酒を飲んだりもします。
「こうしたらどうかな」「ああしたほうがいいかな」と話し合いながら、「また次もよろしくお願いしますね」とお願いする。
そういう、家族のような関係を築いていくことで、「かっちゃんのためやったら、いいものを集めたるわ!」って言ってくださる方がいて、ようやくこの仕事が成り立っているんです。
市場や農家との関係性
結局、市場でも農家でも「人」なんですよね。
市場には毎週通って、顔を合わせて話して。それを大事にしています。
まるで田舎のおっちゃんおばちゃんとのお付き合いみたいなんですけど、取り扱っているのは、どれも一級品ばかり。
そうした超一級のものを、どうやって仕入れていくか。そこにはやっぱり信頼関係が大事なんです。
例えばこの天然のジャスミン

すごい綺麗!
こちらは、静岡のお花屋さんから届いたものです。ちょうど今、生のジャスミンが出てくる時期で、とても香りがよくて。
こういったものは、限られた取引先にしか出回らない特別なものなんです。
たまたま売れ残ってしまったようで買ってくれないかと相談がありました。

そうやって関係ができていくんですね
そうです。こういう時に買うから、欲しいものがないっていう時には、みんななんとかして集めてくれる。持ちつ持たれつの関係ですね。
大事なんですねー!
それがないと始まらないんです。
こちらは香水の原料にもなるものなんですが、また少しタイプが違って、お茶としても楽しめるものです。キンコウボクですね。
香りがすごい
ものづくりする際、何かを作りたいというよりも、こうやってたまたま手元に届いた素材を前にして、「さて、これをどうしよう。何かに使いたいな」と考えるところから始まるんです。そこから「どうやったらこの素材が一番活きるんだろう」って、調理法をあれこれ試しながら、少しずつ形にしていく。そうやっているうちに、自然とオリジナルなものができていく感じですね。
そういうことが楽しい、ということでもあるんですか
楽しいんですよね。
人とそうやって一緒に仕事をするのが好きなんです。僕自身、昭和初期のようなご近所づきあいが濃い家庭で育って、家にもいろんな人がよく出入りしていて。
そういうこともあって、農家さんが困ってるタイミングもわかります。そこで僕がちょっと頑張ってなんとかなるのなら、頑張ればいいじゃないですか。
そういう小さなことの積み重ねが、今のような関係性に繋がってるんだと思います。
年に一度、農家さんたちを全国からお呼びして飲み会を開くんです。
そこでは、農家さん同士が情報を共有したり、うちを中心に農業の悩みを話したりしていて。
そんな関係だから、うちと関わってくれている農家さんたちは、みんなほんとに仲良しなんですよ。

取材を終えて
勝俣様は、市場の方や農家さんと丁寧に向き合い、信頼関係を築いていらっしゃいました。そうした関係づくりも、仕事の喜びや楽しみのひとつであると語ってくださいました。
「Yama」様の唯一無二の価値は、まさにその信頼を土台として築かれてきたものなのだと感じます。そして、ひとつひとつの選択に、できる限り妥協したくないという覚悟も強く伝わってきました。
その姿勢こそが、多くの方々の共感を集めている理由なのだと思います。
ご多忙のところ、お時間をいただき誠にありがとうございました。
パッケージ制作側の工夫
Yama様のお店の世界観に合った、より高級感が感じられる仕上がりを目指しました。
エンボス入りのパールホワイト柄

Yama様のイメージとフルーツが際立つようにと箱を複数ご提案し、最終的にはパールが入ったオフホワイトをご採用いただきました。
お店のドア部分には金色で「山」の店名があしらわれており、当初漢字一文字の「山」でご提案いたしましたが、最終的に紙手提げに合わせ欧文ロゴの「yama」に統一し、金色の箔押しでYama様のロゴを入れることになりました。
印籠蓋

印籠蓋を採用し、上質で重厚感のあるデザインに仕上げました。さらに、蓋裏への内容物の付着を防ぐ機能性も備えています。
蓋の留めシールのみのシンプル包装
よりシンプルな見た目にするため、掛紙やゴムはせず、両側を透明のシールで留める仕様としました。
シール

・剥がしやすいように、つまみ部分は糊なし
・シールと認識できるよう、つまみ部分を白色印刷
・剥がした際、箱の表面まで剥がれないよう最適な粘着力の商品をご提案
折峰では、お店の魅力が伝わるようなパッケージづくりをお手伝いしています。
折箱や紙手提げ、シールなど、イメージに合わせたご提案も可能です。どうぞお気軽にご相談ください。

今回取材協力いただいたお店

Yama 様
東京都港区白金6丁目16−41 1F
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